聖き生涯と栄光の望み
(六)霊的成長への勧告(2:1-3)
キリスト者は、キリストが十字架で流された血潮によって贖われ、救い出された。イエス・キリストを信じて、新しく生まれ変わったことで、聖なる身分が与えられたのである。これは神の大いなる恵みである。この手紙の直接的な受取人は、キリストを信じて間もない人々であった。ペテロは、「生まれたばかりの乳飲み子のように」(2:2)と、霊的成長を手紙の受取人に訴えているのである。すなわち、ペテロは、聖なる神の民に相応しく生きるために、捨てるべきものと受け取っていくべきものがあると訴えている。
(1)悪しきものの放棄
聖なる神の民に相応しく生きるために、捨てるべきもの五つ
・「すべての悪意」‥隣人を傷つけたり、苦しめたりする心の傾向である。
悪意は、いかなる時代、社会に存在するものであり、その性質は陰湿なものであり、始末の悪いものである。悪意は罪の現れである。
・「すべてのごまかし」‥他人を陥れる偽りに満ちた「たくらみ」「策略」である。「ずるいこと」「だますこと」である。
ギリシャ語ではドロスという言葉が用いられている。ドロスとは、自分の目的を達成しようとするために他人を騙そうとする一種の欺瞞である。語源は、餌をちらつかせて、動物を誘き寄せるということらしい。世の中の競争社会に打ち勝つためには、手段を選ばず、策略をめぐらし、他人を陥れる。勝者にならなければならないという、悪しき競争社会の風潮である。神の恵みと聖霊の力に依り頼めば、策略ををめぐらさなくとも、神の栄光を勝ち取ることができる。
・「いろいろな偽善」‥本当の自分ではなく、別の人のように、人を騙すことである。
「偽り」「ごまかし」は、ギリシャ語の「ドロス」という言葉が用いられているが、ほかに、「偽善」の意味をなす「ヒュポクリシス」という言葉がある。これは、舞台で演じる役者を意味する言葉である。本当の自分でない者を演じて見せることである。ついで、悪い意味の偽善者を意味するようになった。キリスト者は演じる必要はない。ありのままに生きていけば良いのである。
・「ねたみ」‥隣人の成功や、名声に対する「にがい心」「悪意」である。
「ねたみ」(フトノス)は、罪の中で最後まで残るものと言われている。弟子たちの間ですら、あの最後の晩餐の場面で、誰が最高の栄光の席に着くか議論したほどである。これも、競争社会の落し子といえよう。私たちは、神に愛され、大いなる恵みが与えられている。だから、妬む必要がないのであり、勝利者として生きることができるのである。
・「すべての悪口」‥中傷的な陰口であり、有害なことばである。
悪口は、ギリシャ語の悪い噂話(カタラリア)の言葉を用いている。これも心の中の妬みの発現とも言える。聖なる神の民の身分が与えられ、栄光に対する望みがあるのだから、御国の世継ぎとして、聖霊をあがめ生きるべきである。悪口はキリスト者の不一致を産み出し、兄弟愛を破壊するものである。
キリスト者は、霊的成長をするために、これらのものをすべて捨て去るように勧告されている。この「捨てる」という言葉は、断固としてきっぱりと捨てるというギリシャ語の“オアリスト(不定過去分詞)”という言葉で表現されている。つまり、「一度限りの」「決定された」事項であり、ギリシャ語特有の表現である。キリスト者は、これらの悪しきものをキッパリと捨てるべきであり、もっとほかに追求すべきものがある。
“あなたがたは、すべての悪意、すべてのごまかし、いろいろな偽善やねたみ、すべての悪口を捨てて、 生まれたばかりの乳飲み子のように、純粋な、みことばの乳を慕い求めなさい。それによって成長し、救いを得るためです。”(2:1-2)
-つづく-
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Author:ぴいくん
生年月日 1961年生まれ
宝塚市在住
性別 ♂
身長 164cm
体重 75㎏ 理想 59.2㎏
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